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持ち株会社とは?メリットや設立方法を徹底解説!

持ち株会社という言葉は、新聞やニュースでもよく耳にする経済用語の一つです。 会社名の最後がホールディングス(HD)となっている会社は、持ち株会社であることをご存知の方は多いと思います。

しかし、持ち株会社の種類や持ち株会社化するメリット、設立方法について詳しく知っている方はかなり少ないのではないでしょうか?

今回は、持ち株会社の種類やメリット・デメリット、設立方法などについて詳しく解説していきます。

この記事を読めば、持ち株会社制度に関する基礎的な知識が身につきますよ!

① 持ち株会社(ホールディングス)とは

①-1 持ち株会社の定義

持ち株会社とは、傘下である子会社の経営を支配することを目的に株式を保有し、傘下グループ全体の経営戦略や事業計画などに携わる会社のことを示します

企業が組織再編を行う際に設立されることが多く、大規模なグループ会社であれば、ほぼ確実に持ち株会社が設立されています。

つまり、持ち株会社(○△ホールディングス)と名のつく会社は、大株主であり、傘下であるグループ会社の株式を一定以上保有している会社であるといえます。

また、持ち株会社を意味する「ホールディングス」という用語は、英語の「holdings:保持、手持ち、握ること」がもとになる経済用語です。

以下に説明するように、持株会社には「純粋持ち株会社」と「事業持ち株会社」「金融持ち株会社」の3種類の持株会社があります。

①-2 3種類の持株会社

1つ目が純粋持ち株会社です。
純粋持株会社とは、持株会社自体は事業活動を行わず、傘下にある会社の運営・支配のみに専念している会社のことを示します。
意外なことに、持ち株会社制度は1997年まで独占禁止法によって禁止されていました。財閥の再編や自由競争の侵害になると考えられていたからです。しかし、1997年の規制緩和に伴い、現在では原則自由となっています。

2つ目は事業持ち株会社です。
事業持株会社は、傘下にある会社の運営・支配だけではなく、自らも事業活動を営む持株会社のことを示します。

 

3つ目は、金融持ち株会社です。
金融持株会社は、銀行、証券、保険などの金融機関を傘下とする持株会社です。金融関係の企業が設立した持株会社であり、機能は純粋持株会社と同様で傘下にある金融機関の運営・支配のみに専念しています。

② 持株会社のメリット・デメリット

次に、持ち株会社制度のメリット及びデメリットについて解説します。
持ち株会社制度の最大の特徴は、傘下である子会社の独立性の高さであるといえます。
この独立性の高さは、メリットになることもあれば、デメリットにもなります。
つまり、この特徴を理解することが、持ち株会社制度を分析する上でのキーポイントになるのです。

②-1 持ち株会社のメリット

経営の効率化

持ち株会社制度における最大のメリットは、持ち株会社が運営・支配に専念することで各グループ会社が効率的に事業に専念できるという点です。
持ち株会社を設立して経営機能を集約すると、経営部門と事業部門がそれぞれの役割に特化して事業を推進することができます。役割の特化は専門性を伸ばす効果も期待できるため、グループ全体の成長速度を加速させることにもつながります。

買収や合併に有利

持ち株会社を設立することによる2つ目のメリットは、企業の買収や合併などをスムーズに進めることができる点です。
持ち株会社制度は、傘下である子会社の独立性が高い制度であるため、事業の多角化に適している組織であるといえます。
このことから、仮にM&Aにより買収する予定の企業が自社グループの事業と関連が薄い事業であってもグループ傘下に収めることが比較的用意であると考えることができます。

また、買収対象の企業も、持ち株会社に買収される場合、買収への抵抗が低くなる傾向があると言われてます。
なぜなら、持ち株会社制度が採用されてる場合、独立性が高く、事業への関与が薄いからです。
さらに、買収後も持ち株会社は基本的に別会社であるため、企業文化の摩擦などから買収先の社員が大量に離職してしまうといったトラブルの回避も期待することができます。

買収の防衛策して機能する

持ち株会社制度を採用していないグループ企業の場合、親会社を買収することでその子会社も同時に買収される間接的買収が可能になります。
しかし、持ち株会社制度を採用している場合、親会社と子会社は基本的に別会社であるためグループ内のそれぞれの企業は独立しています。
そのため、持ち株会社制度により子会社の間接的買収を防ぐことができるのです。
逆に、傘下である企業を売却したいときも持ち株会社のほうが有利であるとされます。
なぜなら、持ち株会社の傘下である各子会社の決算は独立しており、資産調査なども進めやすいため、コストをおさえて売却を進めることができるからです。

リスク分散

持ち株会社を設立し、経営と事業部を分散させることは、リスクの分散にもつながります。
仮に参加のどこかの会社で大きな損失や不祥事があった場合でも、会社が分かれていることで経営部門へのダメージや他の事業会社への悪影響を比較的回避しやすいからです。

人事制度や労働条件の最適化

持ち株会社を設立し、傘下の企業をそれぞれ別会社化することで、子会社毎に異なる人事制度や労働条件を設定することが可能です。

事業内容が異なると、事業に応じて休日や労働時間帯も異なります。
持ち株会社を設立し、事業ごとに別会社化することでそれぞれの事業に合わせた人事制度や労働条件を設定することが可能です。

②-2 持ち株会社のデメリット

持ち株会社が持つ様々なメリットについて解説しましたが、メリットばかりではなくデメリットも存在します。

組織統制の乱れ

持ち株会社が持つ多くのメリットの要因として、グループ内の各企業がそれぞれ独立しているという特徴がありました。
しかし、この独立性が原因となり組織全体の統率をとることが難しくなるというデメリットも存在します。傘下である企業の自律性が強くなりすぎてしまうためです。
持ち株会社の統率力が及ばなくなってくると、子会社同士の関係の悪化や不祥事の隠蔽を招く恐れがあります。結果として、組織全体にとっての不利益となる事態を発生させる可能性も出てきます。

グループ拡大による法人コストの増加

持ち株会社のグループ企業は、それぞれ独立した別会社であり、総務や人事、経理などの部門は各会社に必要です。
持ち株会社制度を導入していないグループ企業であればバックオフィスの機能を親会社が一括して行うことも可能ですが、持ち株会社制度を採用している場合、そのような対応ができません。
従って、グループの成長とともに、
バックオフィスの負担が増加していく傾向があります。

③ 持ち株会社の設立方法

最後に持ち株会社の設立方法についての解説を行います。
持ち株会社の設立方法は2種類あり、それぞれに特徴があります。

③-1 株式移転方式

株式移転方式は、すでに存在している企業が、持ち株会社として新たな会社を設立する方法です。
そして、新たに設立した持株会社に自社の株を保有させ、さらに本社機能を移転させる手続きを行います。
この方法のメリットは、運営している事業が許認可が必要な場合であっても、許認可を移転させる手続きが不要である点です。
そのことから、建設業を始めとした許認可が関わる事業を行っている会社は、事業への影響を極力抑えるため、持株会社を設立する際には株式移転方式を採用する傾向があります。

③-2 会社分割方式

会社分割方式とは、株式移転方式とは逆に、自社の下に子会社を作ることで、持ち株会社を設立させる方法です。
株式移転方式では株式を持ち株会社に移動させましたが、会社分割方式では、会社分割や事業分割を行い、子会社への事業移転を行います。
そうすることで、自社は子会社の株式だけを保有した状態となることで、持ち株会社化することができます。
会社分割方式のメリットは、子会社への事業移転を行うだけなので、費用負担が少なく抑えられることです。
しかし、この方法を採用した場合、事業部の分割に伴い人事異動が発生します。

⑥ まとめ

持ち株会社制度のメリットやデメリット、設立方法についての解説は以上です。

決してメリットだけではない持ち株会社制度ですが、現に多くの企業が採用しています。
また、昨今のM&A等の加速に伴い、持株会社を設立する企業は今後ますます増えることが予想されます。

持ち株会社がもたらす効果等については、当事会社の特徴によっても異なるため、気になる方はまず専門家に相談することをお勧めします。