起業/会社設立

株式会社だけではない?会社形態の特徴、メリットやデメリットを完全解説‼︎

「会社の種類はいくつありますか?」という質問に正確に答えることのできる人は少ないかもしれません。
多くの人は、「株式会社」最初にイメージするかもしれませんし、逆にそれ以外の会社形態はすぐには思い浮かばないかもしれません。
しかし、現行で設立が可能な会社形態は、「株式会社」以外にも「合同会社」「合名会社」「合資会社」と4種類の形態が存在し、2006年まで新規での設立が可能であった有限会社も含めると5種類の会社形態があります。

あまり馴染みがないかもしれませんが、現在、世界でもトップクラスの巨大企業であるAmazon日本法人の正式名称は「アマゾンジャパン合同会社」として運営されています。

この記事では、それぞれの会社形態の違いや特徴、メリットやデメリットなどを中心にわかりやすく解説していきます。

① 会社形態を分析するポイント

分析ポイント

それぞれの会社形態の特徴やメリット、デメリットなどについて解説する前に会社形態を分析するポイントをまとめていきます。
厳密に見ると、それぞれ細やかな要求事項が多数存在しますが、ここでは基本的なポイントを3つのファクターに分けて解説を行います。

  1. 設立費用
  2. 出資者責任
  3. 内部ルール

1つ目の設立費用とは、会社を設立するための費用のことを示します。
例えば、株式会社の場合、現在、法的には「1円から設立可能」となりますが、設立手続きそのものに一定のコストがかかるため、実際には1円で会社を設立することは不可能です。
この設立費用が、会社形態によってそれぞれ異なります。

2つ目の出資者責任とは、会社の運転資金である「資本金」を出資した「出資者」に対する責任の有無やその範囲について示した概念です。
例えば、会社が倒産した際、「出資者」に対して「どこまでの責任を負う必要があるのか」、「その責任の範囲はどこまでか」などは会社形態によって異なります。

3つ目の「内部ルール」は、出資者に対する利益配分や、経営権限の配分などを定めたものです。
会社形態によってこの「内部ルール」は異なるため、ルールに応じて出資者の責任や自由度などが異なります。

上記の3つが会社形態について分析する際の主要な指標です。

② 株式会社

はじめに、皆さんに最も馴染みの深い「株式会社」について解説していきます。
「株式会社」は、一定の規程や制約が存在しますが、知名度や信用度の面では、他の会社形態を上回っている点が特徴です。

株式会社の特徴

株式会社を3つのファクターに分けて解説していきます。

1つ目は設立費用です。
かつては、株式会社を設立する際、資本金は1,000万円以上必要であるなどの規制がありまたが、現在は、資本金1円であっても株式会社を設立することが法的には可能となっています。
一方、株式会社は、依然として他の会社形態と比較すると設立費用が高い形態であるといわれています。
なぜなら、株式会社は、設立時に会社の根本的なことを定めた定款の作成と、公証人による定款の認証手続きが必要となるからです。
また、株式会社は、取締役や監査役の任期に応じて定期的に役員変更の登記をしなければなりません。
このような任期は、会社の取り決めに応じて2年で設定されている場合と10年で設定さレている場合がありますが、12年間、登記をしないでおくと休眠会社とみなされるため、登記の記録が法務局によって抹消されてしまいます。

2つ目は、出資者責任です。
株式会社における出資者は、「株主」と呼ばれ、他の会社形態に「株主」という呼称は存在しません。
また、かつて株式会社を設立する際、発起人(会社設立時の出資者)は7人以上必要であるとされていましたが、現在では発起人は1人であっても株式会社を設立することが可能となりました。
株式会社の出資者である株主には、「有限責任」が適応されます。
株主は、株主総会などで議決権を行使する形で経営に参加し、会社に利益が出れば利益の配当を受け取る権利を保有する一方、会社の経営全てに参加することはできず、法律や定款に決められた事項に縛られます。
このように、株主は権利を行使できる範囲が制限されていますが、その反面、会社が倒産したとしても出資した資金が返ってこないだけであり、出資額以上の責任に問われることはないため、「有限責任」と表現されます。
また、株式会社のように、株主が会社に出資することで会社を所有することと、実質的な経営が分離されている株式会社の特徴を専門用語で「所有と経営の分離」と表現します。

3つ目の「内部ルール」ですが、株式会社の内部ルールの特徴は、利益や経営権限が出資額に応じて株主に付与される点です。
言い換えると、より多くの出資をして、より多くの株を持つ株主は、その分、配当金や経営権への影響力が非常に大きくなるということです。
企業が大きな改革や組織再編、お家騒動などが報道されると「筆頭株主」や「大株主」といった単語をよく聞きます。
これは、多額の出資を行い、多くの株を持つ株主が如何に企業の経営に対して大きな影響を与えるかという株式会社の特徴を示した現象です。
また、株式会社の内部ルールには、決算公告義務なども存在し、会社の財務状態を定期的に開示することが義務付けられる制度となります。

 

株式会社を設立する際に必要な手続きの詳細や、定款の内容に関しては、下記URLの記事で解説しておりますので、ご興味のある方は是非ご覧ください。

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メリットとデメリット

株式会社のメリットとデメリットをまとめていきます。

株式会社の代表的なメリットは、

  • 知名度や信頼性が他の会社形態よりも高い。
  • 株主に対して有限責任が適用されているため、出資額以上の責任を問われることがない。
  • 上場することが可能。

といったメリットが代表的な利点として挙げられます。

一方、代表的なデメリットは、

  • 他の会社形態と比較すると、金銭的コストや情報開示や登記に関わるコストが高い。
  • 議決権などの権利は、出資額に応じた範囲に限定される。
  • より多くの株式を保有する大株主が存在する場合、会社側は経営をコントロールされてしまう可能性がある。

などが挙げられます。

③ 合同会社

次に、合同会社についての解説を行います。

「株式会社」と比較すると聞き慣れない会社形態かもしれませんが、Amazonの日本法人の正式名称は「アマゾンジャパン合同会社」であり、首都圏を中心にスーパーマーケットを展開する西友も正式名称は「合同会社西友」となっています。

また、日本において合同会社は、2006年の法改正によって誕生した会社形態であり、今回この記事で紹介する会社形態の中では最も新しい形態となります。

合同会社の特徴

株式会社と同様、合同会社に関しても3つのファクターに分けて解説していきます。

はじめに設立費用に関してです。
合同会社も株式会社と同様に、資本金が存在しますが、この点に関して何円以上といった制約は特にありません。
また、株式会社と異なり、設立登記をするときに公証人の認証なども不要とされており、法的制限も株式会社に比べて少ないとされています。
このことから、合同会社は株式会社よりも設立に関して金銭的コストや手間が少ないため、自由度が高く設立のハードルが低い点が大きな特徴であるとされています。
このように、合同会社は設立に関してメリットが多い仕組みであるように考えられますが、やはり知名度や信頼性の部分を見ると株式会社よりも劣ると言わざるを得ません。
その結果、企業間のやりとりに関しては、どうしても不便な側面が存在したり、出資者の募集も株式会社の方が有利であるとされています。

次に、合同会社の出資者責任について解説していきます。
株式会社では、会社の所有者である株主が出資額に応じた権利を行使することで、実質的な経営と会社の所有が分離されているため、「所有と経営の分離」が行われていました。
一方、合同会社では、会社に出資した人を「株主」ではなく「社員」と表現し、経営全般に参画できる権利を保有します。
注意しなければならないことは、この場合の「社員」は、あくまで会社へ出資した人のことを示すため、いわゆる従業員とは異なるという点です。
株式会社の「株主」は、基本的に一定の事項のことしか議決できませんが、合同会社の「社員」は経営全般に参画できます。
このことから、株式会社の代表者は経営を総括する立場として「代表取締役」という肩書きを持ちますが、合同会社の経営責任者は「社員」もしくは「代表社員」とされます。
このように、出資に起因する会社の保有と、実際の経営が一体である点が合同会社の特徴です。
また、合同会社も「有限責任」が採用されており、その会社から離れる場合(専門用語では「退社」と表現)は、出資した金額を払い戻してもらうことが可能です。
また、合同会社が倒産した場合であっても、債権者から直接請求を受けることはありません。

最後に3つ目の「内部ルール」です。
先述した通り、合同会社は法的制限が株式会社よりも低く自由度が比較的高いことが特徴です。
また、株式会社のように決算広告義務などは発生しません
ただし、出資を行った社員が会社から離れる(退社をする場合)出資金額を払い戻す義務が発生します。
そのため、社員の退社に伴い、資本金の額が減少してしまうリスクが存在するとされています。

メリットとデメリット

合同会社のメリットとデメリットをまとめていきます。

株式会社の代表的なメリットは、

  • 会社設立や法的制限に関するハードルが相対的に低い。
  • 社員は会社経営に直接参加することが可能であり経営の自由度が高い。
  • 社員は、退社する場合、出資額の払い戻しを受けることができる。
  • 有限責任が適用されているため、出資額以上の責任には問われない。

といったメリットが代表的な利点として挙げられます。

一方、代表的なデメリットは、

  • 知名度や信頼性に関しては、株式会社に劣る。
  • 出資者が退社する場合、払い戻しによって資本金が減少するリスクが伴う。
  • 合同会社の形態のままでは上場は不可。(株式会社に変更した場合は可能)

などが挙げられます。

④ その他の会社形態

ここからは紹介する「合資会社」「合名会社」は前述した2つの会社形態に比べると、かなりレアな会社形態であり、現在では、ほとんど新設されない会社形態となっています。

また、「有限会社」は、商号として掲げている会社は現在でも一定数存在しますが、2006年の法改正に伴い新設はされない会社形態となりました。

以下では、この3種類の会社形態について解説します。

合名会社

合名会社について解説していきます。

合名会社の特徴は、合同会社と同様に経営の自由度が高い点であり、株式会社と比べると低コストで設立可能であり、強い法規制や制限に縛られないため、比較的自由に経営を行うことが可能です。

しかし、合名会社の出資者(社員)には、株式会社や合同会社には科されない重い責任が伴います。
それは、合名会社の社員は、「有限責任」ではなく「無限責任」を負うことになっているからです。
株式会社や合同会社は、出資した額に応じた権利や責任が伴う(逆に考えると出資額以上の権利や責任は生じない)ため、仮に会社が倒産したとしても、出資額が返還されないだけであり、債権者からそれ以上の請求を受けない仕組みが採用されていました。
これを有限責任と表現します。

一方、合名会社の出資者である社員は、会社が倒産した際、会社の債権者から直接請求を受けます。また、その責任の範囲は無限です。
つまり、合同会社の出資者は、このような重い責任を負ったうえで、会社の運営全般に関わる権利を有するのです。

また、合名会社の場合、出資者である社員は、会社を離れても一定の範囲の責任が伴います。

合資会社

次に合資会社について解説します。

合資会社の大きな特徴は、出資者が2人以上必要である点です。
他の会社形態では、出資者は最低1人でも可能でしたが、合資会社の場合、2人以上の出資者を必要とする制度となります。

会社の運営に関しては、合同会社や合名会社と同様に、低コストで設立可能であり、強い法規制や制限に縛られないため、比較的自由に経営を行うことが可能な形態です。

合資会社は、合名会社同様、出資者が重い責任が伴う「無限責任」を負うケースと、株式会社や合同会社のように「有限責任」を負うケースがあります。
ここで注意すべき点は、株式会社や合名会社の「有限責任」と合資会社の「有限責任」はかなり異なり、「有限責任」が適用されている出資者であっても債権者から直接請求を受ける立場にあるという点です。

また、合資会社の出資者は、合名会社と同様に会社を離れても一定の範囲の責任が伴います。

有限会社

最後に有限会社について解説を行います。

有限会社は、かつて有限会社法という法律によって管轄されていましたが、この法律は2006年に廃止され、それ以降、有限会社を設立することはできなくなりました

ただし、現在も「有限会社」を商号として掲げている企業は一定数存在し、比較的頻繁に見かける会社形態の一つであるといえます。

有限会社は、株式会社が資本金が最低1000万円以上を必要としていた時代に、有限会社の最低資本金300万円で設立可能であり、役員の任期に関する制限などもなかったため、株式会社よりも設立するためのハードルが低い形態であるとされていました。
また、出資者は50人までという制限があったものの、基本的な用件は株式会社と概ね同一です。

有限会社法の廃止と同時に合同会社が誕生しましたが、「設立のハードルが比較的低い」という点では合同会社と似た形態であったといえるかもしれません。

⑤ まとめ

この記事では、現在、新規で設立が可能な「株式会社」、「合同会社」、「合名会社」、「合資会社」と、現在では新規の設立ができなくなった「有限会社」について基本的な特徴やメリット、デメリットについて解説しました。

以下の表は、現行の法律で新規の設立が可能な4つの会社形態の特徴についてまとめた表です。

株式会社 合同会社 合名会社 合資会社
出資者の最低人数 1人 1人 1人 2人
出資者の呼び名 株主 社員 社員 社員
出資者の責任 有限責任 有限責任 無限責任 無限/有限責任
会社の代表 代表取締役 社員/代表社員 社員/代表社員 社員/代表社員
最高決議機関 株主総会 社員総会 社員総会 社員総会
業務執行者 取締役 業務執行社員/
全社員
業務執行社員/
全社員
業務執行社員/
全社員
決算広告 必要 不要 不要 不要
利益配分 株式の割合に応じて配分 社員の合意で自由
に配分
社員の合意で自由に配分 社員の合意で自由に配分

今回、この記事では、それぞれの会社形態の基本的な部分についての解説を行いましたが、実際に会社を設立する際は、専門的な知識や煩雑な手続き、金銭的なコストが発生します。

また、会社設立に伴うメリットやデメリットを判断するためには、深い知識やノウハウ、また専門家のバックアップが必要です。

会社の設立に関しては、基礎的な知識については学びつつ、信頼のおける専門家の後押しを受けることが不可欠となります。