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知らなきゃ経営者失格!?財務諸表はなぜ重要?わかりやすく財務諸表を説明します!

財務諸表というものが企業にとって重要であるということを耳にしたが、なぜ財務諸表が重要であり、そもそも財務諸表って一体何なのか、どうやって見ればいいのかわからない。

そんな方は多いのではないでしょうか。

たとえば、何も見ずに貸借対照表の各項目についてしっかりと説明することができますか?

財務諸表は上場企業などでは公認会計士や監査法人に作ってもらうことが義務となっており、株主を守るうえで重要なものとなっています。

その重要性からスタートアップ企業には不可欠であるイグジットにあたっては財務諸表が最も重視されます。

この記事では、経営者が知っておかなくてはならない財務諸表3表(貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書)の概要、目的、用い方について説明します!

1.財務諸表とは?

(1)財務諸表は法人の健康診断!

財務諸表とは、企業の年に1度(四半期に一度、月次の場合もある)の健康診断のようなものです。

財務諸表には、記載されている企業の一定期間の取引の総まとめが記載されています。

したがって、その企業の財務諸表をみればどれだけ利益をだしたか、どれだけ負債を抱え込んだかなど、財務諸表はをみればその企業の経営状況が健全なのかあるいは不健全なのかがわかります。

財務諸表は”諸々の表”と書くように複数の表をまとめての呼称です。

一般に、財務諸表とは貸借対照表(BS)、損益計算書(PL)、キャッシュフロー計算書(CF)、の3つが主な構成となります。

ほかに、株主資本等変動計算書(SS)製造原価報告書(CR)などもあります。

財務諸表は先述のとおり、企業の健康診断です。

これがわからなくては知らぬ間に深刻な事態に陥ってしまうかもしれません。

そのため、経営者には健全な経営をするためにも財務諸表を読み解く力が必要不可欠です。

(2)複式簿記は知っていて当然?財務諸表のリテラシー

捕捉になりますが、後述する財務諸表の分析では複式簿記に関する知識が重要となります。

ここでは複式簿記について、必要最低限の説明をしていきます。

簿記では、簡単にいえば、その企業の取引のお金が何に使われたか、なん何のお金なのかを記載します。

帳簿は、資産、負債、純資産(資本)、費用、収益の5つによって構成されています。

それぞれが具体的にはどんなものかは、財務諸表を説明しながらの方がわかりやすいと思いますので、後ほど説明します。

また、複式簿記は右側と左側(簿記では右側を借方、左側を貸方といいます。借、貸という字をあてますが特に意味はないです)とで合計額が同じになります。

たとえば、果物屋さんがりんご100円を購入した場合、図1のように記帳されます。

これは取引の二面性に着目しているからです。

果物屋さんはりんごを買うために100円をただ失ったのではなく、代わりに100円分のりんごの仕入れを行ったわけですよね。

つまり、100円を失った(資産の減少)一方で100円と等価値のりんご(仕入れの費用)を手にしているというととなり、借方と貸方の合計額は一致します。

これが複式簿記の特徴です。

2. 貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)別名バランスシートあるいはBS(Balance Sheet)

貸借対照表は一定期間の企業の財政状態を表しています。

貸借対照表の構成は大きく分けて、資産の部、負債の部、純資産の部からなっています。

(1)貸借対照表でわかること

図2のような勘定式がほとんどなのですが、その場合では資産の部は左側(借方)、負債の部、純資産の部は右側(貸方)にあります。

これら3つの場所は固定ですので覚えておくとよいでしょう。

資産の部→現金、商品、有価証券、建物や備品など。お金あるいは売るとお金になるもの。

負債の部→支払手形、未払い法人税等や退職給付引当金(従業員に支払うために積み立てたもの)など。お金を支払わなくていけないもの。

純資産の部→資本金や積立金などの自己資本。

どこに記載されるのか具体的に見て、確かめてみましょう。図のとおりです。

簿記での資産、負債、純資産、費用、収益の5つの要素のうち、貸借対照表は資産、負債、純資産からみたものなので、これら3つの要素から、どのように資金を動かしているか、集めているか、保有しているかがわかります。

たとえば、複式簿記によって記帳されているので、借方金額の総計と貸方金額の総計は前述のとおり等しくなります。

したがって、例えば借方から貸方を見れば、総資産の資金源泉が他人資本(負債)なのか自己資本(純資産)なのかがわかります。

図2の場合、負債(他人資本)34%、自己資産(純資産)66%によって資産が構成されているということになります。

(2)貸借対照表の分析

次に、貸借対照表の分析について説明します。

貸借対照表を用いた計算式を用いることにより、企業の資金にどの程度余裕があり安全なのか、あるいはどの程度危険なのかがわかります。

企業の安全性と収益性とは、通常トレードオフの関係にあります。

負債で多くの資本をあつめればそれだけ収益性はあがりますが、他人資本が多くなるためハイリスクになります。

貸借対照表を用いた以下のような計算式により、企業の財政状況を分析することができます。

貸借対照表を用いた計算

流動比率=流動資産÷流動負債×100 → 企業の短期支払能力(200%以上が妥当*)

当座比率=当座資産÷流動負債×100 → 即座支払能力(100%以上が妥当*)

固定比率=固定資産÷自己資本×100 → 自己資本に対する固定資産の比率(100%未満が妥当*)

資本固定比率=自己資本÷固定資産×100 → 自己資本の固定化の比率(100%以上が妥当*)

負債比率=負債÷自己資本×100 → 自己資本に対する負債の割合(100%未満が妥当*)

資本負債比率=自己資本÷負債×100 → 自己資本に対して負債が適当かを判断(100%以上が妥当*)

自己資本利益率=純利益÷自己資本×100 → この比率が高い程、収益力が大

自己資本比率=自己資本÷総資本×100

*妥当な数値は一概にはいえません。国によっても平均的な数値は異なります。日本では低い傾向にあるようです。

では、試しに図2をもとに、流動比率(流動資産÷流動負債×100)を計算してみましょう。

流動比率とは、簡単にいうと、短期的な企業の負債返済能力を指し示す指標です。

流動比率が高ければ短期的な支払いを行いやすく、低ければと短期支払いにも長期の借入金が必要になるとされます。

短期と長期は1年を境に定まり、1年以内のものが短期、1年以上のものが長期です。

しかし、財務諸表には短期(流動)か長期(固定)かは記載されていますので、頭の隅に置いておく程度でよいでしょう。

流動比率計算の具体例

手順1:流動資産は借方(右側)の流動資産合計(2,700)を見ればわかります。

手順2:流動負債は貸方(左側)の流動負債合計(1,500)を見ればわかります。

手順3::流動資産2,700÷流動負債1,500×100=流動比率180となります

手順4:したがって流動比率は180%となり、日本の企業では120~130%ですので高めといえるでしょう。

3.損益計算書(そんえきけいさんしょ)別名PL(Profit and Loss Statementあるいはincome statement(US))

損益計算書は一定期間の企業の利益と損失を表しています。

企業のある一定期間における収益と費用の状態を表すために、複式簿記で記録されたデータの集計です。

(1)損益計算書でわかること

損益計算書をみると、一般に言う黒字、赤字がわかります。

簿記での資産、負債、純資産、費用、収益の5つの要素のうち、損益計算書は費用と収益から分析を行うことができます。

例えば、どんなものに費用が発生しているのか、また営業で儲けたのか、あるいかは有価証券などの資産運用で儲けたのかがわかります。

下、図4をみてみましょう。

△はマイナス記号と同様の意味をもちます。

売上高とは一定期間に企業がなにか自社の商品あるいはサービスを提供し、売り上げた際に記帳されたデータの総計です。

例えば、リンゴ150円を売り上げた場合は下、図5のようになります。

この”売上”を一定期間分まとめたのが、”売上高”です。

これだけではまだおおざっぱですので、諸費用を引き、営業外での収益を足したものが最終的な株主の利益です。

もちろん、費用が収益を上回った場合に企業は損失をだしたということになり、最終行の当期純利益は当期純損失となります。

#1:売上総利益

売上総利益とは、売上高から売上原価(売上に対応する原価)を引いた額です。

仕入れた際の費用、前期から残っていた在庫、今期に残った在庫が加減されます。

#2:営業利益

営業利益とは、売上総利益から商品の販売に要した費用や本社の管理費用(販売費及び一般管理費)を引いた額です。

具体的な費用は、給料、広告費、減価償却費(建物などの資産を耐用年数に応じて取得時の額を費用として計上すること)、貸倒引当金繰入(お金を貸し付けたときに貸したまま返済されないリスクがあるので、貸付額の一定割合の額を備えたもの)などが含まれます。

#3:経常利益

経常利益とは、商品売買活動以外から生じた営業外利益、営業外費用を加減したものです。

具体的な営業外利益、営業外費用は金銭の貸し付けや借入、有価証券の売買、利息、保有している有価証券の時価での変動額などです。

税引前当期純利益とは経常利益にまれにしか発生しない利益や損失を加減したものです。具体的な特別利益や特別損失は建物などの固定資産を売却した際の固定資産売却益/売却損、火災損失などがあります。

当期純利益とは最終的な株主の儲けです。税引前当期純利益から法人税、法人税及び事業税を差し引きます。株式会社では所有と経営の分離がされており、利益は株主のものとなります。経営者は当期純利益を株主の了承をもって処分します。たとえば、配当金として配る、あるいは積立金などさらなる事業拡大のために内部留保などです。

(2)損益計算書の分析

損益計算書の分析です。

損益計算書を用いた計算式を使い、会社のどの部分に収益性があるのかを分析します。

#1:売上総利益率

売上総利益とは、企業が本業の商品でどれだけ稼ぐことができているかの指標です。

数値が高いほど利益の大きい商品を販売しているということです。

売上総利益率(%)= 売上総利益 ÷ 売上高 × 100

#2:売上高営業利益率

売上高営業利益率とは、企業が通常の営業でどれだけ稼ぐことができているかの指標です。

数値が高いほど会社が本業で稼げる力は高いということです。

売上高営業利益率(%)= 営業利益 ÷ 売上高 × 100

#3:売上高経常利益率

売上高経常利益率とは、企業の財務活動までを含めてどれだけ稼ぐことができているかの指標です。

売上高経常利益率(%)= 経常利益 ÷ 売上高 × 100

前述の損益計算書の説明からどの利益がどの費用と対応しているかはわかると思いますので、もう自力で分析することができると思いますよ。

4.キャッシュ・フロー計算書 別名CF(Cash Flow Statement)とは?

キャッシュ・フロー計算書とは、一会計期間の企業のキャッシュ・イン(お金の流入)とキャッシュ・アウト(お金の流出)を捉え、企業のキャッシュ(現金)の流れを計算したものです。

キャッシュフロー計算書によって、企業にどのくらいの現金があるかということが分かります(ここでいう現金は日本銀行券だけでないので、注意してください)。

小切手や当座預金などすぐに現金化されるもの(3ヶ月以内の定期性預金)も含まれます。

起業初期はこのキャッシュ・フロー計算書が何よりも重要です。

帳簿上では黒字でも、債券などがほとんどの場合、実際に現金が手に入るまでに時間を要し、債務の支払いに遅れ、倒産する(黒字倒産)危険性があります。

そのがめ、企業にどのくらいのすぐに使える現金があるかがわかるキャッシュ・フロー計算書は重要です。

(1)キャッシュ・フロー計算書でわかること

キャッシュフロー計算書では、資金の流れを「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つに分けて表します。

3つのキャッシュフローの最も理想的な状態は、「営業活動がプラス、投資活動がマイナス、財務活動がマイナス」の状態とされています。

これは、「本業が好調でキャッシュが増え、将来に向けて投資をし、借入金の返済が進んでいる」状態だからです。

営業活動によるキャッシュフローとは、本業によってキャッシュがどれくらい増えたか、あるいは減ったかを示す項目です。

この項目には直接法と間接法から選択できますが、手間のすくない間接法が好まれるようです。

その一方で、直説法は経費払いや賃金払いがより正確にわかります。

投資活動によるキャッシュ・フロー計算書とは、固定資産・株・債権などの取得や売却をした時のお金の流れを示す項目です。

企業がどういったものから資金を調達しているか、あるいは何に投資しているかがわかります。

財務活動によるキャッシュ・フローは営業活動以外での負債と純資産の部に関わる全ての資金の動きを示します。

主に借入金による調達や返済の増減や、自社の株や債権に関する発行益・配当金支払・買戻・返済などが記載されています。

(2)キャッシュ・フロー計算書の分析

営業活動による項目の合計がプラスであれば、本業が好調な証拠です。

マイナスの場合は、現金不足といえます。費用として使ったお金(お金の流出)以上に、売り上げている(お金の流入)ということです。

投資活動による項目では、優良企業や成長企業(設備投資ができる余力がある企業)はマイナスになっているケースが多いようです。

営業活動のためには固定資産への投資が必要だからです。

プラスの場合は、土地や建物、株式を売却してキャッシュを手にしているということが分かります。

財務活動による項目は、優良企業の場合はマイナスである場合が多いようです。

積極的に成長を目指すために借り入れが増え、プラスとなる成長企業もあります。

つまり、借金で現金を調達し、それ以上に儲けているということです。

以上のことから、キャッシュ・フロー計算書により、

・現金を生み出す現金創出力

・資本の活用方針(企業がどこへ向かっているか)

・借入金に係る支払利息の負担能力

・外部からの資金調達への依存度

・収益力の質と量(企業は何によって現金を稼いでいるか)

などを読み解くことができます。

5.財務諸表の分析に欠かせない。ROEやROAなどの指標について

ROEとROAは企業がどの程度効率的に経営されているのかがわかる指標です。

ROE(Return On Equity)とは自己資本利益率を指し、株主が拠出した資本(自己資本)を利用して、どの程度の利益を上げているかを示す指標です。

計算式は以下の通りです。

自己資本利益率(ROE)の計算方法

自己資本利益率(ROE)=当期純利益÷自己資本×100

数値が高いほど高効率です。

ROA(Return On Assets)とは、総資産利益率のことを指し、企業が保有している資産を利用して、どの程度の利益を上げているかを示す指標です。

計算式は以下の通りです。

総資産利益率(ROA)の計算方法

総資産利益率(ROA)=当期純利益÷総資産×100

この数値もまた高いほど高効率ということになります。

これらの指標は投資家や株主にとって重要であり、またイグジットを目指すスタートアップ企業にとっても重要といえるでしょう。

投資家や株主たちは自分の資本をより効率よく扱う企業に任せたいはずです。また、投資家たちの期待がその企業の価値を形成します。

6.まとめ

主要な財務諸表3つ説明しました。

財務諸表がなぜ重要であり、なにが記載されているのか理解していただけたでしょうか。

貸借対照表は資産、負債、純資産の観点から、損益計算書は収益と費用の観点から、キャッシュ・フロー計算書は現金がどこから流入しどこへ流出しているのかに着目したものでした。

財務諸表を読みこなせるようになるためには、時間をかけて何度もしっかりと読み込む必要があります。

そのため、自社の財務諸表はもちろんのこと、上場企業などから公開されている財務諸表なども繰り返し読んで、しっかり慣れていきましょう。

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