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【委員会設置会社】設立目的や構造、メリット・デメリットなどをわかりやすく徹底解説!!

 

近年、「委員会設置会社」というワードを経済紙などで徐々に見かけるようになりました。

この「委員会設置会社」は、会社内外における評価や報酬に関する管理監督体制を高めることを目的として設置された制度ですが、「通常の株式会社とどのように異なるのか?」や「どのような利点があり、どういった構造であるのか?」などを詳しく認識している方はあまり多くはないかもしれません。

今回は、「委員会設置会社」を通常の株式会社と比較した場合の違いや、組織の構造、メリットやデメリットなど委員会設置会社についての基礎をわかりやすく解説していきます。

① 委員会設置会社とは?

はじめに、「委員会設置会社」の目的や体系についての基本的な説明を行うため、多くの企業において、既に導入されている「監査役設置会社」と比較して解説を行います。

監査役会設置会社

はじめに、監査役会設置会社について説明します。
あまり聞き慣れないかもしれませんが、監査役会は、国内でもかなりメジャーなガバナンス体系です。
資本金5億円以上などの一定の条件を満たす大会社であれば設置が必要とされていることから、多くの企業で採用されています。

また、この制度の目的は、「経営」と「監査」の機能を分離させることで、不正を防止することが目的であるされています。

具体的には、

  • 株主総会で取締役と監査役を選任。
  • 取締役会で会社の重要事項や経営についての意思決定を行い、業務を遂行。
  • 監査役会で取締役や会社の不正の有無や会計処理などをチェック。

という体系です。

これは、国家が採用する三権分立の制度と非常によく似ていて、「株主総会→立法機関(国会)」、「取締役会→行政機関(内閣)」、「監査役会→司法機関(最高裁判所)」という図式にかなり近いマネジメントの方法であると考えることができます。

また、株主総会と取締役会の違いや、監査に関しては以下の記事で詳しい説明が行われているため、ご興味のある方は是非ご覧ください。

株主総会と取締役会の違いとは?会社運営に必要な決議事項を総まとめ

監査とは何か?監査の種類と必要性をわかりやすく解説!

委員会設置会社

委員会設置会社は、上記で説明した「監査役会」の代わりに、「指名委員会」、「報酬委員会」、「監査委員会」という3つの委員会を設置して、経営の監督や役員の評価を行う制度です。この制度は、監査役会設置会社よりも明確な区分がなされた監査機能を持ち、より経営の透明化を図ることができる機関体系であるとされています。

また、この制度の下では、取締役会によって「執行役」というポジションが選任されます。
執行役は、取締役会で決定された事項に基づいて業務を遂行するポジションであり、実務部門のトップであるといえます。

それぞれの役割について見ていくと、

  • 取締役会が、会社の重要事項や経営についての意思決定、委員の選任・解任、執行役の選任・解任を行う。
  • 委員会は、取締役の職務監査、取締役の報酬決定、執行役の業務監査などを行う。
  • 執行役は、取締役会より選任・解任され、取締役会での決定事項に基づいて業務運営に専念する。

という、監査役会設置会社とはかなり異なる業務区分が行われている点が特徴です。
なお、取締役が株主総会で選任される点は、監査役会設置会社と同様となります。

このように委員会設置会社では、経営監査や評価を専門に行う「委員会」と、実務のトップとして業務を専門に行う「執行役」を組織することで、経営の監督機能と業務執行機能を明確に分離した機関体系であるといえます。

なお、取締役に関しては、以下の記事で詳しい説明が行われているため、ご興味のある方は是非ご覧ください。

取締役とは?役割から業務内容、待遇や責任まで徹底解説!

② 委員会設置会社の構造

委員会設置会社は、「監査役」というポジションがない代わりに、取締役会によって選出・解任される委員によって編成される3つの委員会の他、「経営」と「業務遂行」を明確に分離する観点から、聞き慣れないポジションの役職が存在するなど顕著な特徴がいくつかあります。

ここからは、委員会設置会社特有の構造について解説します。

3つの委員会

委員会設置会社では、監査役会に代わり、「指名委員会」、「報酬委員会」、「監査委員会」という3つの委員会が経営の監督や評価を行います。

この委員会は、取締役会によって選出・解任が行われ、委員の任期は1年とされています。
各委員会はそれぞれ取締役3名以上で組織され、その過半数は社外取締役で構成されなければなりません。

それでは、各委員会の役割や組織構成を見ていきます。

指名委員会

指名委員会は、株主総会に提出する取締役の選任や解任に関する議案の内容を決定する委員会であり、簡単に言うと、取締役としてふさわしい候補の選定を行うための委員会です。
また、取締役だけでなく、取締役と共に会計書類を作成する「会計参与」と呼ばれるポジションの選定もこの委員会で行われます。
ここで注意しなければならないのは、委員会では、あくまで取締役や会計参与に関する議案について内容の決定が行われ、取締役の選任・解任は株主総会で行われるという点です。

指名委員は取締役会で選任され、3名以上の取締役で構成、そのうち過半数は社外取締役でなければいけません。

報酬委員会

報酬委員会の役割は、取締役・執行役・会計参与の報酬を決定することです。

なお、報酬委員会の委員も指名委員と同様、取締役会で選任され、3名以上の取締役で構成、そのうち過半数は社外取締役で構成されなければなりません。

監査委員会

監査委員会の主な業務は、執行役・取締役、会計参与の職務監査と監査報告の作成を行うことです。

この委員会の委員も、他の2つ委員会と同様、取締役会で選任され、3名以上の取締役による構成、また過半数は社外取締役である必要があります。

なお、監査委員は執行役、子会社の執行役、業務執行取締役などは兼任できないとされています。これは、実務と監査を明確に分離し、監査の透明性や公平性を保つことを目的としているからです。

その他の特徴

委員会設置会社の特徴は、上述した通り、取締役会に選任されたメンバーで構成される3つの委員会が、会社経営や業務に関する評価や監査に専念する組織体系である点です。

また、委員会設置会社には、その他にも通常の会社組織と異なる特徴がいくつかあります。

代表取締役が存在しない

通常の株式会社には、代表取締役が存在します。
代表取締役とは、いわゆる「社長」のことを示しますが、会社法上は「社長」ではなく「代表取締役」が正式な名称です。
取締役会を「行政機関(内閣)」に例えると、代表取締役はいわば総理大臣に該当するポジションであるといえます。
では、なぜ、委員会設置会社には「代表取締役」が存在しないのでしょうか?
それは、委員会設置会社は、「業務執行」、「経営」、「監査」が明確に区分された組織だからです。

通常、経営の重要事項の決定や業務の遂行は、取締役会の決議に則って行われます。
その一方、委員会設置会社では、「業務執行」と「経営」は明確に区分されているのです。
このことから、委員会設置会社では、「業務執行」は、「執行役」もしくは「代表執行役」の責任により遂行され、取締役会は、会社経営に関する決議と執行役の選任を専業で行っています。

会計監査人が必要である

委員会設置会社では、監査役を設置することができない代わりに、会計監査人が常時必要とされます。

委員会設置会社には3つの委員会がありましたが、それらの役割は、「取締役候補の選定」「役員報酬の決定」、「経営と実務の監視」であり、会計監査に特化した委員会はありませんでした。

そのため、委員会設置会社では、会社の決算が正しく行われているか監査する専門家である「会計監査人」という会計監査に特化したポジションが必要とされてます。
また、ここで注意しなければならない点は「会計監査人」となれるのは「公認会計士」または「監査法人」に限定される点です。

③ 委員会設置会社のメリット・デメリット

委員会設置会社のメリット

以下が、委員会設置会社の制度を導入する場合の主要なメリットです。
委員会設置会社では、経営と実務の分離に起因するメリットが多いとされています。

  1. グローバルで通用する。
    日本ではあまり馴染みがない「委員会設置会社」ですが、実は、欧米ではかなりメジャーな組織体系です。
    また、委員会設置会社は、経営の透明性が高く、欧米のマネジメント体系寄りの機関設計であるため、海外投資家からの印象が良いとされています。
    そのため、海外の投資家から支援を受けることなどを検討している企業にはオススメであるといえるかもしれません。
  2. 各組織がそれぞれの専門領域に集中できる。
    委員会設置会社は、「業務執行」、「経営」、「監査」がそれぞれ別組織として機能している機関設計です。
    そのため、それぞれがそれぞれの本業に集中しやすい体系であるとされています。
    例えば、委員会設置会社においては、「経営を行う取締役会」、「業務を遂行する執行役」というように経営と実務の領域が明確に区分されています。
    取締役が実務の責任者を兼任し業務遂行を行うことで、会社の意思決定を行う経営に集中できず、経営効率が悪化する問題が多く存在していますが、業務領域の明確な区分は、このような状態を避けるためには有効であるといえます。

委員会設置会社のデメリット

委員会設置会社は、経営の透明性や、業務領域の明確な区分がメリットである一方、多くの役職を必要とするため、コストが高くなるリスクを持つ機関体系です。

以下は、執行役員制度を導入した際の主なデメリットとなります。

  1. 高コストである。
    委員会設置会社で組織される3つの委員会には、それぞれ3人以上の取締役が必要とされ、そのうち過半数は社外取締役でなければいけません。
    また、各委員の兼任は制度上可能ですが、委員の業務負担を加味すると限界があることが実態であるとされています。
    さらに、この機関設計は必然的に一定数の社外取締役を必要とします。
    議論の活性化や経営の透明性の強化など多くのメリットはありますが、社外取締役として適任者を確保や報酬の負担に関しては非常に困難であると言わざるを得ません。
  2. 業務効率化を妨げる可能性がある。
    委員会設置会社のメリットは、それぞれがそれぞれの業務に集中できる設計であるという点でした。
    一方で、「経営」と「業務執行」を分離することに関しては、事業に関する意思決定や情報連携が複雑化し、コミュニケーションの手間が増加するリスクが発生します。
    また、取締役会と執行役が常に連携を取りながら業務を進める必要があるため、コミュニケーションの齟齬などによって、逆に業務が非効率化する可能性は否定できません。

④ まとめ

以上が、委員会設置会社の基礎的な概要です。

海外では、メジャーな機関設計である一方、導入のハードルが高いなどの観点から、国内ではまだまだメジャーな体系であるとはいえず、実際の導入割合は東証一部上場企業の数%程度であると言われています。

しかし、グローバルな観点で見た場合、ガバナンス体系の透明性は今後ますます重視される課題であるといえるため、今後ますます委員会設置会社のニーズが高まる可能性は否定できません。

このように一定のニーズはあるとはいえ、国内では未だメジャーな制度となっていないため、「委員会設置会社」への体系の変更などを検討する際は、専門的な知識や、深い知見・ノウハウを持つ専門家への相談が不可欠です。

組織体制の変更など、経営に関する大きな舵取りを検討する際は、自身で学び、実行することも重要ですが、信頼のおけるの専門家に相談しましょう!

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