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「投げ銭」サービスで特許は取得できるのか?特許のプロが考えてみた

最近注目を集める「投げ銭」機能が搭載されたWEBサービス。

投げ銭は、個人間でインターネットを通じて気軽に課金をできる仕組みを提供することで、様々なビジネスチャンスが生まれていっています。こうした投げ銭の仕組みと、投げ銭の技術で特許を取得することができるのか、という点について本記事では解説していきます。

1 投げ銭サービスとは?

投げ銭サービスとは、ユーザーが自由に個人等に対してポイント、トークンなどを送金できる仕組みです。特徴としては、少額の支援を気軽にすることができるという点であり、スマートフォンアプリなどを活用して、気軽にぽちっと支援をすることができるようになっています。

2 投げ銭サービスの種類は?

投げ銭サービスには、様々な種類があってそれぞれに特徴があり、投げ銭サービスの種類について解説いたします。

(1)LIVE配信型

SHOWROOMや17Liveといったサービスに代表されるのが、LIVE配信型のサービスです。これらのサービスでは、リアルタイムの動画を配信し、視聴するユーザーがコメントをしたり、投げ銭をしたりする機能があって、まさに実際のライブと同じ体験をオンラインですることができるようになっています。LIVE配信型の場合、事前にユーザーが投げ銭ようのアイテムを購入し、アイテムを投げ銭として送ると、配信者に収入が還元される仕組みになっています。

(2)クラウドファンディング型

Polcaのような少額クラウドファンディングの仕組みもあります。こちらは通常のクラウドファンディングのようにプロジェクトを立ち上げて資金を募るよりはもっとライトな物に対してお金を集めることが可能となっています。例えば、旅行にいきたい!とか、引っ越し費用が欲しい!とかのような身近なものでも、対象となるのが特徴です。

(3)送金型

送金型は、個人間でお金のやり取りをするためのサービスです。例えばKyashはVISAのプリペイド型クレジットカードに対してチャージする形での送金が可能です。また、Paymo等のように割り勘という体裁でお金を送ることができるサービスもあります。

(4)コンテンツ課金型

ブログサービスのnoteはコンテンツに対する可能とする仕組みが搭載されています。noteで書いた記事を読んだり、定期購入したりする際に課金が可能になっています。

(5)トークン投資型

一時期話題になったVALUのようなサービスは、個人に対して出資することを可能としたサービスです。特徴としては現金ではなく、トークンや仮想通貨などがやり取りされていることです。投げ銭をしたかも、投資した先が知名度が上がったりするとその恩恵を受けることができるような設定になっています。

3 投げ銭サービスはどういう技術で構成されている?

こうした投げ銭型のサービスではどのような技術が使われているのかをみていきましょう。

(1)仮想通貨、トークン

まず最近の傾向として仮想通貨や、トークン技術などが利用されているケースも増えてきました。個人間の通貨の送金は、資金決済法が定める「資金移動業」または銀行法が定める「為替取引」に該当することが多く、スタートアップが実現するには法的にハードルが高いといえます。

そこで、2017年頃からは、仮想通貨などを活用したサービスが出てくるようになりました(仮想通貨の場合も、資金決済法上、「仮想通貨交換業」の枠組みができたので規制もあります。)。

仮想通貨は流通や管理のコストが低いため、資金力の低いスタートアップであっても参入しやすいという利点もあるようです。

(2)ブロックチェーン

また、仮想通貨以外のブロックチェーンも利用されるようになってきました。例えば、こうした投げ銭サービスはSNSと非常に相性がいい技術でもあるといえますが、SNSをブロックチェーン技術で構築することもされており、ALIS社などがこの分野でサービスを提供しています。

(3)送金のビジネスモデル

送金の仕組み自体にも技術的な工夫が必要になってくるでしょう。前述のとおり個人間の送金は法的にできないことが数多くあります。こうした点を回避するために各社が様々な仕組みを作っていっており、こうしたものがビジネスモデルとして保護されるべき技術となる可能性もあります。

(4)ユーザーインターフェース

ユーザーインタフェースも重要な技術です。投げ銭を手軽に行えるようにするためには、ユーザーの心理的な抵抗感を下げる必要があり、そのためのユーザーインタフェースは常に改善されて行っています。こうしたインタフェースの中には、特許となる技術も含まれているでしょう。

4 投げ銭サービスで特許は取得できるのか?

こうした投げ銭サービスに用いられている技術も特許の対象となることが可能です。この章では、どういうものが特許となるのかについて解説します。

(1)まずは特許の制度をみていきましょう

「特許」とは、ある技術を発明をした個人や法人に対して、その発明の独占権を与えてその経済的な利益を保護する制度です。したがって、特許となるためには、以下の4つの「発明」の要件を満たす必要があります。

  • 自然法則を利用
  • 技術的な思想
  • 創作性
  • 高度なもの

それでは、以上4つについて解説させていただきます。

①自然法則を利用

「自然法則」とは、自然界における現象の間に成り立っている必然的・一般的な関係を示した法則のことで、科学的な法則などがこれにあたります。一方、ゲームのルールなどは該当しません。

②技術的な思想

「技術」とは、ある結果を得るための具体的な手段であり、誰が行っても同じ結果が得られるもののことです。「思想」とは、アイディアであり、単なる情報の提示は「技術的な思想」とはなりません。

③創作性

「創作」とは、新しいものを作り出したり、考え出したりすることであり、すでに存在しているものを見つけ出すことは、「創作」ではなく発見です。したがって、自然界にある物質などを発見しても特許にはなりません。

④高度なもの

「高度なもの」は、実用新案法に定められている「考案」と区別するために設けられたものですが、実務的にはこの条件は審査の際には考慮されないようになっています。

以上の4つの条件に加え、特許で保護されるためには次の特許要件を満たす必要があります。

(2)特許要件として必要なものは?

「特許要件」としては、主には次の3つが挙げられます。

  • 産業上の利用可能性
  • 新規性
  • 進歩性

①産業上の利用可能性

産業上の利用可能性」とは、産業上利用することができるかどうかであり、これに該当しないものは特許にできません。例えば病気の治療法や、純粋に数学的な定理などはこれに当たるため、特許となりません。

②新規性

「新規性」とは、「新しい」ということを意味し、出願時点ですでに公然と知られている発明や書籍・インターネットなどに掲載された発明は、世間に知れ渡っているため「新規性」がありません。

③進歩性

「進歩性」とは、発明が容易にはできないという意味です。技術分野が属する知識を持っている人が、既存の発明をもとにして簡単に発明することができるようなものに「進歩性」はありません。

以上のように、「発明」と「特許要件」の条件をいずれもみたしている場合、特許庁に特許の出願をし、それが認められれば特許で保護されることになります。

(3)ビジネスモデル特許

よく言われるビジネスモデル特許ですが、実はビジネスモデル自体には特許は与えられません。なぜなら特許の要件には、「自然法則を利用した技術思想」というものがあるためであり、単なるビジネスモデルは自然法則を利用していると言えないため、特許に該当しないのです。それでは、どういうものがビジネスモデル特許として保護されるかというと、ビジネスの方法をITを利用して実現する装置・方法に関する技術なのです。

つまり、ビジネスモデル特許とはビジネスモデル自体に直接的な独占権を与えるものではあなく、プログラミングによる処理の自動化を行ったりと、ビジネス手法において不可欠な技術的な仕組みを構成として加えた場合においては、特許で保護が可能となります。

(4)投げ銭の技術で特許を取得する際のポイントは?

以上の点を踏まえると、投げ銭技術の特許を取得するためには

○ブロックチェーンなどの基幹技術を特許とする

○送金の仕組みなどをビジネスモデル特許として取得する

という方法が考えられます。特にビジネスモデル特許は、取得することができればかなり広い権利をとることも可能であり、ビジネス上大きな武器になる可能性が高いものです。こうした権利取得を検討したい方は、ぜひ一度弁理士などの専門家に相談してみてみるのもよいでしょう。

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