一般法務/契約書

あらゆる業種・業態の ベンチャー企業を支援したからこそ提供できる ユーザーフレンドリーな経営支援サービス〈前編〉

AZX総合法律事務所(東京都千代田区)は、ベンチャー支援に特化した法律事務所として知られる。

業種・業態にかかわらず、幅広くサービスを提供していることから、国内のベンチャー・コミュニティでは知らないものはいない知名度を誇る。

また、弁護士だけではなく、税理士、公認会計士、社労士、弁理士など関連士業が事務所内に所属。ワンストップサービスを提供していることでも知られている。

AZX総合法律事務所でマネージングパートナー・COOとして活躍する、弁護士の菅原稔氏に、そのサービスの概要について話を伺った。

なぜAZXは有益な情報を経営者に提供できるのか

ーベンチャー支援を始めたきっかけについて教えてください。

私は仙台出身で大学は東北大学に通っていました。
学生時代、東北地方の若手経営者の皆さんと仕事をさせていただいたり、イベントを一緒にやらせていただいたりしているうちに、こういう人たちと卒業後も仕事をしたいと思うようになりました。
それならばと進路を考える中で、自分で起業する、経営者の方々の下で働くという選択肢以外に、あえて違う道に進んで、違うスキルで支援できれば、私が一緒に仕事をしたいと思った経営者の皆さんと一生一緒に仕事ができるのではと思い至りました。
それで弁護士資格を取ることにしたんです。ですから、弁護士資格を取ってベンチャー支援を始めたというよりは、ベンチャー支援をするための手段が弁護士というルートだったんですね。

ーベンチャー支援をするためのツールとしての弁護士なんですね。

私にとって弁護士資格は、経営者の皆さんと仕事をする際の自分の強みのようなものです。
ベンチャー支援をしているなかで、我々は弁護士という部分に価値を感じてもらっているわけではないんですね。弁護士としての知識や技術は当たり前という前提で、それ以外の部分での付加価値を評価していただいています。
たとえば、ベンチャー・コミュニティに根付いていること、業界のノウハウや慣習を知っていることなど、弁護士資格以外の部分にこそ価値があると思っています。

ー菅原先生はこれまで何社くらいの企業を支援してきたのですか?

現在、1年に少なくとも1回以上お会いして支援している企業が100数十あります。
累計では200社以上の企業の皆さんとお付き合いさせていただいてきました。

ーそれぞれ、どのような業務が多いのでしょうか?

私は弊所の中でも、かなりカバーしている範囲が広いと思います。
VC経験があるのでファンドや投資契約といった固めの業務も多いのですが、VTuberやゲーム、Instagram等のSNSに関連するサービスなど、流行りのC向けサービスも多いです。
興味のある分野の仕事は積極的に受けるようにしています。最近は株式型クラウドファンディングなどの、新しい資金調達手法に興味がありますね。

ーそれだけの数を手掛けていると、幅広い知見が溜まっていきますね。

多くのスタートアップを支援することによる価値は大きいと感じています。
昨今、CLOのような形で社内に入り、ベンチャー企業に深くコミットして仕事をする弁護士が増えています。中に入って専門家としての知見を発揮するというのは素晴らしいことだと思うし、ベンチャーにとってもメリットは大きいと思うのですが、深く入り込む分、どうしても多くの社数をみることはできません。
私だったらマンパワー的に3〜4社が限界だと思います。数多くの企業、業界、業態を手掛けることで、業界のスタンダードはこれくらい、こういう選択をするとこういう落とし穴があるという、知見や暗黙知が溜まっていくんですね。これが非常に大きいと感じています。
それも、過去の知見ではなく、リアルタイムで何社も並行してサポートし続けていくことが大切です。ベンチャー界隈は展開が早いので、たった数ヶ月で常識が変わっていることがあり得ます。
常に最新のケースを多く回して蓄積し、その知識を依頼者の皆さんに還元していくことが、我々に課せられた使命だと思っています。いまはそのサイクルがうまく回っている状態ですね。

ー特に貴所の場合、30人以上の弁護士がスタートアップ支援をされています。個人ではなく組織としての力も相乗効果を生み出していますね。

ありがとうございます。弊所のパートナー弁護士が10人ほど、私と同じようなサービスを提供しています。その分、事務所としての知見が溜まっているので、自分ひとりで解決できなくてもパートナーに「こういう事例ない?」と聞くことで、ある程度は解決します。
また、ベンチャー支援をしているとどうしてもベンチャーに肩入れしすぎてしまい、本来違法である可能性が高いものについて「適法」といいたくなる場面に度々遭遇します。
そんなときは、弊所の弁護士に意見を求めてみて、やはり違和感があるという回答を受けた場合にはは、その選択肢はやはり弁護士として出してはいけないんだなという物差しとしても機能しています。

ー貴所の具体的なサービスを教えてください。

ベンチャー企業の経営者の皆さんのご希望に合わせて、タイムチャージベースでどのようなご依頼でも受けています。
弊所の特徴的なサービスとしては、ビジネスモデルの無料審査がありますね。創業初期のみなさんが第一歩目を踏み外さないように、3つの視点から審査をしています。
まずは適法性。そもそもそのサービスは法律上問題ないのかをチェックします。
次にそのサービスが違法行為に利用されないか、適法性レベルを審査します。そのサービス自体は適法だったとしても、そのサービスを故意に悪用されたとき、なにか別の問題が生じないかを検討します。
最終段階では紛争可能性を確認します。法的には正しい、違法にも使われない。でも、このサービスを提供することで誰かが損をする、またはクレームが出る、そういった可能性を探ります。
たとえば、何らかの形で消費者が損を被る可能性のあるサービスの場合、のちに規制ができることにつながっていきます。あらかじめ紛争の芽を詰んでおき、自主規制をしておかないと、後々大変なことになってしまう。
こういったことを、三段階で審査しています。これは口頭ベースであれば無料でご提供しています。

ーこれは起業の第一歩から経営者の皆さんは見ていただいたほうが良いですね。

ぜひ最初から来てほしいと思っています。審査だけなら無料で、契約書などを頼まなければ費用はかかりませんから。
もちろん、弁護士のところに足を運ぶのはハードルが高いことは理解しています。しかし、勝手に費用を請求されるものではありませんから、まずは気楽に訪ねてみて、自分たちがやろうとしているビジネスに法的な問題がないのか、チェックするのは大切ではないかと思います。
問題が見つかればそのケアをすればいいし、なければ安心して開発にリソースを全投入できる。自分がやろうとしていることの法律上の危うさを早めに知っておいてほしいと思っています。

ービジネスがうまくいく、逆にそれでは儲けが出そうにないというようなアドバイスはされるのですか?

我々はコンサルタントではありませんので、その部分についてお金をもらってサービスは提供していません。
しかし、少なくとも法律上の選択肢が複数ある場合、当然、儲かる提案をするべきだと思います。そうしないとベンチャー支援をする意味がありません。
ここは、私がVCに出向していた経験が活きているところだと感じています。経営者の方からお話を聞いて、「このビジネスではたぶん、VCは投資しませんよ」という肌感が分かりますから。
他にも「その理念は分かりますが、VC受けを考えたら他の選択肢を考えたほうが良い」「このビジネスモデルだと、僕の友だちのVCにも勧めにくい」ということも、多くの企業を見て、VCに知り合いが多くいることから実感として分かります。

ーその視点は一般の企業法務サービスを提供されている弁護士とは違う点ですね。

違うと思います。一方で、出向経験もそうなのですが、ベンチャー界隈にどれだけ深く根付いている弁護士かということだと思うんです。
ベンチャー界隈のコミュニティは狭いので、業界内で知り合いが多いということ自体もひとつの意味、価値だと感じます。プライベートや仕事以外の部分での知見の交換も活発に行われているので、そこで得られる情報が有益だったりするんですよね。最近の相場観とか、他社ではどうやっているの? とか。
普段仕事をしているだけでは得られない情報や知見も多いですから、どれくらいコミュニティ内に深く根付いてポジションを築いているかということが大事なんです。

「弁護士」なら誰でも良いわけではない

ーこうなったら弁護士に頼んだほうがいいというフェーズはどんなタイミングですか?

間違いないのは外部投資家を入れるタイミングです。少なくとも外から投資を受けるタイミングでは弁護士を使ったほうがいいでしょう。
投資を受ける際、当然、投資契約を結ぶことになりますが、ここでいきなり失敗しているケースが見受けられます。
投資というものは、1回まず投資を受けて、そのまま終わることはまずなくて、2回目、3回目と投資が続いていきます。そして2回目以降の投資契約は、少なくとも1回目よりも軽くなることはほぼないんですね。
1回目の投資契約をベースとして、さらに重いものになっていくのが通常なので、相当会社がイケていない限り、2回目の契約がゆるくなることはあり得ないんです。
ところが、1回目の投資契約の際にノーチェックで進めてしまい、誰も悪気がないままに重い契約が結ばれていると、2回目以降にそれを直すといっても、相当にハードルが高いんです。

ー実際によくあるケースはどのようなものですか?

たとえば、受ける投資は500万円なのに、1億円、2億円レベルの投資契約を結んでしまうようなケースですよね。
そういう投資契約を結んでしまうと、将来とても大変なので、外から投資を受けるときには、その契約が適法なのかは当然ですが、相場観や金額に見合う重さの契約書になっているのかどうか、合わせてその契約が将来のファイナンスだったり、今後の会社運営に支障がないのかという点もチェックしたほうがいいと思います。一回間違えるとなかなか是正が効かないのが株周りなんです。
後から「株を返して」とか、「契約内容を変えさせて」というのは、厳しいですよね。業務委託契約で会社が潰れることはあまりありませんが、株周りをミスって会社が立ちいかなくなることは往々にして起こり得ます。
投資を受けることでお金が入るわけですから、ケチらずに、そこだけは弁護士を入れてほしいと思います。そして大切なことは、投資契約に詳しい弁護士を入れてほしいというところですね。

ー投資契約に詳しくない弁護士に依頼すると、どういうミスが起こり得るんでしょうか。

法律的に間違っているわけではないのですが、よくこれ飲みましたねという契約書を目にすることがあります。
投資契約というのは全部ビジネスジャッジなんですよね。そもそも、VCから提示された投資契約に違法なことが書いてあることなんてまずないんです。
極論を言えば、条項ごとに「この権利をあげてもいいですか、どうですか?」とコメントを付けていけば、弁護士としては一応レビューしたことになるんです。でもそう言われたってという話じゃないですか。
投資契約は法的に正しいか正しくないかというよりも、通常のこのフェーズにおいて、この権利が入っていることが妥当なのかどうかをチェックする必要があります。これは法律とは関係ない部分の話なので、弁護士が見たからと言って、適切な内容になっているとは限らないんです。
業界を知り、その企業を知り、企業の成長におけるフェーズを理解した上で、この契約書は妥当なのかを判断することが大切ですので、少し特殊なんです。ですので、そういう領域に詳しい人にアドバイスを求めてほしいと思います。

ー実際に目にしたおかしな契約書の例、なにかありますか?

1億円とか2億円の投資を受けるようなフェーズに通常入っている権利が、1000万円の段階で入っているというケースですよね。
典型的なのは、VC側の事前承認の権利です。もちろんVCにとって事前承認は会社を適切にコントールするために重要な権利ではあるのですが、あまり初期の会社に細かすぎる事前承諾を押し付けるのは逆効果です。
ある契約書には事前承諾の権利が2〜30個入っていました。1回目の投資で相手が1社だけだったときにはまだ良かったのですが、投資先が2社、3社と増えたら、それぞれ「うちもその権利が欲しい」となって、ビジネスでひとつ、物事を決めるのに、一体何社にお伺いを立てればこの話は進むのかという状況になりました。しかも、どこか1社が嫌だと言ったら事業がまったく進まないわけです。
担当者によってはそのあたりを柔軟に対応してくれる方もいますが、VCも事業会社も担当者が変わることは当たり前です。担当者が変わったら、それまでの口約束はなかったことになり、条項が分厚い契約書だけが残る。
そうなってしまったら粛々と全員に同意を取りに行かないといけないわけです。

ーそもそも、VCが出してくる契約書はどのような形なのですか?

誠実なVCはきちんと投資先ごとに自社の雛形からアレンジをしたものを提示してくれますが、手間がかかるため自社の雛形をそのまま提示してくるVCもいます。
その雛形って、1000万円用、5000万円用、1億円用と作り分けているVCは多くなくて、だいたい一番重い内容が雛形になっているんです。しかも、少し語弊があるかもしれませんが、最近はVCの数も増えたので、VCの担当者で自社の雛形をきちんと理解していて、なおかつそれを自分でアレンジできる人はあまり多くないのが実情です。
これが自社の雛形であるということは分かっているのですが、この規定がなぜ雛形に入っているのか、ちゃんと説明できて、投資先に応じてアレンジできるキャピタリストは業界でも一握りです。
これに対して、投資を受けるベンチャー側にも投資契約に詳しい人がいないので、結果として投資金額や会社の実情に見合わない重い雛型のまま契約が締結されてしまう。
この一連の流れの中で、誰も悪気がないというのが一番問題だと思っています。VC側もベンチャー側も、早く契約を締結することを優先して、雛形を使っただけ。そういうケースですよね。

ー誰も悪気がないというのは、深刻ですね。ちゃんと分かっている弁護士に見てもらわないと落とし穴がある。

そうですね。最初からちゃんとケアをしてほしいと思います。
そしてなにより、ぜひ社長自身にそれを理解して欲しいですよね。COOなどに丸投げするのではなく、社長本人に理解してほしい。特に株式周りは。社長がまったく関心がないと、だいたいそういうトラブルになります。社長としては1000万円をもらうことが先決になってしまうんですよね。その気持ちはもちろん分かりますが、あとから「なんでこんな契約になっているの?」と聞かれても、社長が当時、気を配らなかったからですよと返すしかなくなってしまいます。
投資契約の雛形というものは「それでやっておけば間違いない」というものではなく、むしろその読み合わせや交渉をVCと行うことを通じて、これから末永く一緒にやっていくVCとの信頼関係を高める重要なプロセスなんです。そのプロセスを有意義なものにするために必要なアドバイスができるというところが、私個人、またはうちの事務所の強みのひとつでもありますね。
弊所はVCのクライアントも多いので、VCがなにを考えているかよく理解をしているつもりです。彼らにとって「ここは譲れる部分」「ここはどうしても譲れない部分」というのがあります。彼らも人のお金を預かって運用しているので、どうしてもキープしないといけないエリアというものがあるわけです。そこを理解したうえで、落としどころを提示できる能力は、法律知識だけではなく、彼らの背景にある事情を知らないといけません。
これはVCにもサービス提供をしている我々だからできることなのかなと思います。

▶▶▶▶後編に続く

あらゆる業種・業態の ベンチャー企業を支援したからこそ提供できる ユーザーフレンドリーな経営支援サービス〈後編〉

■プロフィール
菅原 稔氏
Minoru Sugawara
AZX総合法律事務所
マネージングパートナー COO
弁護士

2009年東北大学卒。2013年に弁護士登録後、AZX Professionals Groupに入所。VCに出向後、AZX総合法律事務所に復帰。2019年、マネージングパートナー COOに就任。2020年、東北大学特任教授(客員)に就任。これまで数百件を超えるベンチャー企業を支援。起業家・ベンチャー企業経営者から絶大な信頼を集める。

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