M&A

M&Aでの弁護士の役割は?依頼するメリットと選び方を徹底解説!

M&Aには様々な手続きや契約があります。

それらを弁護士に依頼する事で大きなメリットがある事をご存じでしょうか?

専門知識や実績を持つ弁護士はM&Aの際に、重要な役割を果たしてくれます。

今回はその役割やメリット、選び方まで詳しく解説していきます!

1.そもそもM&Aとは?

M&Aとは企業買収・合併の意味です。

一般的には創業者や投資家が売主となり、株式譲渡契約を交わすことにより行われます。

株式譲渡契約の成立前には、買い手企業が売り手企業を調査するデューデリジェンスが行われます。

デューデリジェンスの主な調査内容は「企業・事業の資産価値」「M&Aによるリスク」「予想される収益」です。

買い手と売り手の基本合意の後、デューデリジェンスが実施され、最終契約を締結します。

基本的には大きな額のキャッシュが動き、従業員の生活もかかっていることから、慎重に各種手続きを行なっていかなければなりません。

2.M&Aにおける弁護士の役割

M&Aにおいて弁護士は、法務アドバイザーとして、法的な視点からリスクの洗い出しや問題の有無について確認します。

基本的に、契約書類の作成と法務デューデリジェンスについては、弁護士によって行われます。

それ以外でも、申請や交渉を代行する事もあり、M&Aに強い弁護士はスキームの立案をサポートしてくれる事もあります。

また、有価証券の発行を取り締まる金融証券取引法等の違反の有無の確認や、買い手企業と売り手企業間のトラブルが訴訟に発展した場合の対処も行います。

以下からは、M&Aにおける弁護士の具体的な役割についてみていきましょう。

(1)契約書類の作成

M&A過程にはいくつもの契約があり、何度も契約書類を交わすことになります。

特に重要なものでは「基本合意書」「秘密保持契約書」「最終契約書」などがありますが、それぞれ特定の書式があり、法律で定められた事項の記載が必要になります。

契約書に不備があれば、M&Aの進捗に遅れが出るだけでなく、訴訟に発展してしまう可能性があります。

また、M&Aの手続きが無事に全て終了した後でもトラブルが発生することがありますので、その対処の為にも、最終合意書は精査して取り交わす必要があります。

したがって、各種契約書のうちに損害を被るリスクが隠れていないか、また、後々トラブルの原因となってしまうようなものが隠れていないか、弁護士による事前のチェックが必要不可欠です。

(2)法務デューデリジェンス

法務デューデリジェンスとはM&A対象企業を法律の観点から監査し、法務的なリスクを洗い出す作業です。

具体的には、これまでに締結した契約や取引行為が各種法令を順守してなされたかを調査します。

また、所有権や技術特許などの事業に関する権利が訴訟対象になっていないかどうかや、許認可・登記関係は適切なものかどうかの調査も行います。

ここで法務的リスクに気づかなければ、訴訟リスクが顕在化し損害賠償を支払うことになるなど、採算のとれないM&Aになってしまう恐れがあります。

(3)M&A前後のサポート

事務所によって扱う範囲は異なりますが、相手候補企業の紹介や企業価値算定、クロージングまで行う場合もあります。

法的な部分以外においてもサポートを受けることができるため、円滑にM&Aを進める助けになります。

3.M&Aにおける弁護士の必要性

ここまでは、M&Aにおける弁護士の役割について紹介しました。

次は、上記のような仕事を弁護士に依頼する事で得られるメリットについて具体的に紹介します!

(1)法的な視点からのサポートを受けられる

例えば法務DDの際には、対象企業や事業が法的リスクを抱えているかについて洗い出しが行われます。

このとき、どのようなものが法的リスクであるのか、また、そのリスクが顕在化した場合にはどれほどの損失が発生するのかについては、法律に精通した弁護士でなければ適正な評価をすることができません。

思わぬリスクの顕在化を防ぐためにも、たとえ当事者同士がM&Aに納得している場合であってもその確認は必要になります。

あとから発覚した場合、M&A自体が破談になることや、訴訟に発展する恐れがあります。

また、弁護士はM&Aの結果だけでなく、その過程をサポートすることもできます。

M&Aの最終契約成立までの様々な手続きにおいて、遵守すべき要件等、様々なアドバイスを得られることにより、より効率的なM&Aプロセスを経ることが可能です。

さらに、もし万が一、何かしらのトラブルが発生した場合、その解決についても任せることができるので、安心してM&Aに取り組むことができます。

弁護士が法的トラブルの早期解決を行うことで、たとえトラブルが生じたとしてもM&Aを継続することができる可能性があります。

(2)交渉力をつけることができる

弁護士は法律のプロフェッショナルであり、交渉のプロフェッショナルでもあります。

裁判や調停などで交渉経験がある弁護士であれば、答弁の技術と法的な根拠に基づいた主張により、効果的な説明・交渉を行うことが可能です。

また、M&Aに携わった実績が豊富な弁護士であれば、その経験を活かせます。

そのため、より有利な条件を獲得する駆け引きに秀でていたり、発生した事態の収拾が早く解決したりするなど、依頼者にとって理想的なM&Aを実現しやすくなります。

こちらに有利に進めることができるだけでなく、効率的な交渉により、成立まで無駄なく進めることができ、円滑に手続きを進めることができます。

(3)横のつながりを利用することができる

M&Aに長けた弁護士であれば、弁護士を通じたネットワークを活用できるのも大きなメリットです。

M&Aでは会計士や税理士など他の専門家の力が必要になる場面がありますが、各分野の優れた専門家を見つけるのは簡単なことではありません。

しかし、M&Aに強い弁護士であれば、M&Aに長けた他の専門家とのネットワークを築いていることが多く、必要に応じてそのネットワークが利用できます。

弁護士事務所が税理士事務所、会計士事務所などと連携している場合は複数の専門家のサポートを同時に受けられ、M&A案件が成約する可能性が高まります。

4.弁護士費用の相場はどれくらい?

ここまでは、弁護士に依頼する事の有益性について紹介してきました。

では実際に依頼する場合、どれほどの費用が必要になるのでしょうか。

この点は、M&Aの規模や各事務所によっても異なるため、端的にいってかなりピンキリです。

そこで以下からは、おおよその必要経費とその相場について紹介していきます。

どこの事務所でも見積りの作成に応じてくれると思いますので、実際に依頼する際には複数の事務所に見積りを出してもらい比較すると良いでしょう。

想定外の費用が発生して予算を超えてしまったり、トラブルなったりすることもあるため、M&Aを弁護士に依頼する場合は、費用に関して事前に確認することをお勧めします。

(1)相談料

弁護士に相談する際は、法律相談料がかかります。

事務所により異なりますが、30分5000円などの時間制の場合が多く、初回の相談料を無料としている事務所もあります。

M&Aに特化しているのかという専門性や、人としての相性などを見極めるためにも、複数の事務所に相談してみることをおすすめします。

(2)着手金

着手金とは、弁護士事務所と委任契約を結んだ際に支払う手数料です。

M&Aの規模等によって金額は異なりますが、M&A関連の場合には20万円~50万円ほどが必要です。

M&Aの手続き準備は、会社の分析や資料作成・各種契約書の作成・企業価値評価・相手企業の選定などさまざまです。

これからの作業費が着手金に含まれている場合や、別途費用が発生する場合があるので、事前の確認が必要になります。

(3)顧問契約料

顧問契約料は、雇用契約を結んだ場合に支払う費用です。

顧問契約は必須ではありませんが、月間数万円の費用を支払うことで、規定時間内のアドバイスをもらうことができます。

M&Aサポートの委任契約自体はM&A完了時点で終わりますが、M&A手続き完了後も統合作業が長期間にわたる場合もあります。

その間アドバイスを受けるためには弁護士と顧問契約を結びます。

(4)各種契約書の作成料

各種契約書の作成は、単発で依頼した場合に枚数や種類に応じて、1万円から15万円ほどの費用が発生します。

M&Aのトータルサポートを依頼した場合は、委任契約の内容に契約書作成料がパッケージ費用として含まれている事務所もあります。

M&Aでは、契約書をはじめとした各種書類の作成と内容の確認が非常に重要です。

特に外国籍の企業とM&Aを実施する場合、免責事項や管轄地の設定など、契約書が段ボール数十箱に及ぶことさえあります。

M&Aの契約書は、言い回しひとつでトラブルの際の責任の所在や、大きさが変わってしまうほど、繊細で専門性の高い書類です。

(5)各種デューデリジェンス

デューデリジェンスの費用は、携わった人数や調査にかかった費用によって変わります。

また、デューデリジェンスの種類が増えるほど費用も高くなります。

弁護士が法務デューデリジェンスを行った場合、100万円以上の費用が発生する場合が多いようです。

デューデリジェンスには高額な費用がかかりますが、デューデリジェンスを行うことによって買収後のリスクを減らしたり、事業シナジーを高めたりすることが可能です。

M&Aの成否そのものを左右する事項であるため、低コストを重視するのではなく、費用対効果を重視したいところです。

(6)報酬金

M&Aが完了した時点(買い手側が売り手側に対価を支払い終わった時点)で弁護士に支払う手数料が報酬金です。

報酬金は、売買金額によって1~5%の手数料率で変動するレーマン方式を採用しているケースが多いようですが、売買金額が低額の場合は固定手数料を設定しているケースもあります。

5.M&Aに強い弁護士を探す方法

M&Aにはそれに特化した専門的知識や経験が求められるため、全ての弁護士がM&A業務を行えるわけではありません。

そのため、M&A業務を弁護士に依頼する場合には、M&Aや企業法務に実績と経験のある弁護士を探すと良いでしょう。

そういった弁護士は事務所の大きさに関わらず、M&Aに関わる契約書類の作成や交渉能力に長けている事が多いからです。

既に顧問弁護士がいる場合であっても、M&Aを実施するにあたっては、いつもとは違う弁護士に相談したほうが良い場合もあります。

インターネットでも弁護士(事務所)について情報が載っているので、参考になるかもしれません。

中にはM&A手続きを売りにしている弁護士もいます。

そういった弁護士は、一連の流れを熟知しており、注意しなければならない点を的確にアドバイスする事ができます。

また、会計事務所や税理士事務所へのネットワークも強いので、より役に立ってくれるでしょう。

6.まとめ

M&Aの際には弁護士が大きな役割を担うことを解説させて頂きました。

M&Aの手続きは複雑でわかりにくく、また、何度も経験する事ではありませんので慣れることもないかと思います。

その中で、できるだけ利益のあるものにするには、力強い助っ人の存在が必要です。

M&Aに実績にある弁護士であれば、開始から終了まで、トラブル回避をしながら効率よく進める手助けをしてくれます。

インターネット等でも簡単に問い合わせ可能な事務所が増えているため、M&Aの際には、まずは費用の事からでも相談する事をお勧めいたします。

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この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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